Книга · こころ
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Автор: 夏目漱石
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もし私が叔父の希望通り叔父の娘と結婚したならば、その結果は物質的に私に取って有利なものでしたろうか。これは考えるまでもない事と思い
ます。叔父は策略で娘を私に押し付けようとしたのです。好意的に両家の便宜を計るというよりも、ずっと下卑た利害心に駆られて、結婚問題を
私に向けたのです。私は従妹を愛していないだけで、嫌ってはいなかったのですが、後から考えてみると、それを断ったのが私には多少の愉快に
なると思います。胡魔化されるのはどっちにしても同じでしょうけれども、載せられ方からいえば、従妹を貰わない方が、向うの思い通りになら
ないという点から見て、少しは私の我が通った事になるのですから。しかしそれはほとんど問題とするに足りない些細な事柄です。ことに関係の
ないあなたにいわせたら、さぞ馬鹿気た意地に見えるでしょう。
私と叔父の間に他の親戚のものがはいりました。その親戚のものも私はまるで信用していませんでした。信用しないばかりでなく、むしろ敵視し
ていました。私は叔父が私を欺いたと覚ると共に、他のものも必ず自分を欺くに違いないと思い詰めました。父があれだけ賞め抜いていた叔父で
すらこうだから、他のものはというのが私の論理でした。
それでも彼らは私のために、私の所有にかかる一切のものを纏めてくれました。それは金額に見積ると、私の予期より遥かに少ないものでした。
私としては黙ってそれを受け取るか、でなければ叔父を相手取って公沙汰にするか、二つの方法しかなかったのです。私は憤りました。また迷い
ました。訴訟にすると落着までに長い時間のかかる事も恐れました。私は修業中のからだですから、学生として大切な時間を奪われるのは非常の
苦痛だとも考えました。私は思案の結果、市におる中学の旧友に頼んで、私の受け取ったものを、すべて金の形に変えようとしました。旧友は止
した方が得だといって忠告してくれましたが、私は聞きませんでした。私は永く故郷を離れる決心をその時に起したのです。叔父の顔を見まいと
心のうちで誓ったのです。
私は国を立つ前に、また父と母の墓へ参りました。私はそれぎりその墓を見た事がありません。もう永久に見る機会も来ないでしょう。
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Не начат